さとや

室町三条を西に二軒目の二階にあたらしくお弁当屋さんができた。お向か
いには京都医健専門学校。いま京都の街にはお総菜屋さんやお弁当屋さん
はたくさんあって、目移りするし、もっとガツンとボリュームのある店も
ある。どうせなら買うとき、そっちのほうがいいような気がする。そっち
のほうがトクしたような気がして、いい買いモンしたなって、おもえる。
けれどまあ、この歳になると、案外ここのお弁当ぐらいがちょうどかな、
と思えてくる。佐藤さんのつくるごはんはいたってふつう、てらいも媚びも
ない。なんかのときにはよく塩にぎりをつくってくれる。京北で作って
もらっているおいしいお米を炊いて、手に塩をふってつくる小さめの俵型
おにぎりが美味いんだ。海苔も巻かず、具もないただ塩で握っただけ。
卵焼きがおいしいよ、っていっていたら、使っている卵焼き器をみせて
くれた。四角い、やたら分厚いプロの道具だった。これだと卵をいれても
鍋の温度がさがたりしない。鍋の表面だけ卵が焼けて上のほうはだんだん
熱をかけていって焼くみたいにはならないのだとおもう。ちゃんと焼ける。
卵といて、だしいれて、味付けて、水ちょっと足して焼くだけ、だという。
店でつかっている、のれんとかの字を書かせてもらっていて、誰かに見て
もらったら、うまいわけじゃないけれど、いい字だ、といってもらったらしい。
おいしそうな字だ、といっていた人もいて、ちょっと恥ずかしかったりも
するのだけど、ちかくに行ったらよってみてください。
月曜から金曜までは夜7時30分まで、土曜はお昼まで、日曜は休み。三条
通りを見下ろす席があって、店の中でも食べれます。

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