禅寺小僧

日々の記です。

麹があがったんで、










蒸し米といっしょに仕込む。麹一升、蒸し米一升、井戸水三升の割合。
ちょっと事故というか勘違いをしていて、
木の樽は使う前に水を張って、木を膨張させておかないと水がダダ
漏れになるから、蔵に二斗樽が二つあるうちの一つに水をはってい
たんだけど、朝洗おうと水を覗きこんでみるとなんだか水の色が赤
い。?と思いつつタワシでこすっていたのだけど、しまった、これ
って味噌樽やんか!味噌用と甘酒に樽をわけているのを反対の樽に
水をはって用意していたわけで、今から甘酒の樽に水を張っても間
に合わないし、味噌用ので仕込むか、でも味噌味になっても困る
し、迷ったあげく、今回は土の甕に仕込むことにした。甕に入れて
コーヒーのドンゴロスでくるんでおいた。でもよく考えたら、木の
樽で仕込むからちょっとづつ減る分もいれて水は三升入れているの
に水を吸わない甕だとちょっと感じがかわってくるかもしれない。 














やっとのことで3階の事務所に荷物を運び込み、オデオン座を斜め
に下がったところにあるホテル・バルコンに入るころにはすっかり
夜になっていた。ホテルといっても小さい宿屋みたいなところで、
入り口の窓ガラスや螺旋階段の窓なんかにアールヌーボー風の装飾
がしてある。エレベータは螺旋階段の中心部分にはめ込まれてて、
五角形みたいな不思議な形で、三人乗りなんだけど荷物を積むと一
人しか入れない。おそろしく単純なアナログ式で行き先の階を一つ
押すと、その次の階はもう押せない。その階に着いてから次の注文
の階を受け付けます、という化石みたいな方式なのだっった。今回
は通りに面した部屋だった。まえは反対側の部屋で、窓から向こう
に煙は吐いていないけれど煙突が林立していて、生活している人の
家の中が丸見えでびっくりドキドキもんだったけど、今は小さいオ
フィスが見える程度で、そうなってしまうと逆に淋しいもんだっ
た。











時計を忘れた。携帯はこっちで使えないからおいてきたんだけ
ど、普段から腕時計はしないから、昔から使っている懐中時計を持
ってきた。お守りみたいにしている時計で、これさえ持ってれば、
みんなの前で苦手にしている話をしてくださいと頼まれてもなんと
かなるさ、と信じてる頼りにしているヤツなんだ。が、部屋に入っ
てごそごそしてわかったことはテレビに時計の表示はできるけれ
ど、アラームはかけれないことだった。駅長さんの所持品の白い文
字盤の懐中時計は大きくて見やすくて手の中に入れていると持ち重
りするがするけれど、現在の時刻を表示できるだけで、目覚ましは
かけれないのだった。












困った。








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