春は陽光に晒されて、
白い光の中を一枚づつ、
桜の花びらは
風に流されてゆくのがいい。
だんだんと、これからあったかく
なってゆき、
枝が伸び、葉が茂ってゆくころ
地面に辿りつく。
そっと、音もたてず。
かかえきれないほど莫大な爛漫が
砂上の楼閣のように崩壊して、
春が散ったあとには悲しみが
あるけれど。
錦秋が墜落したあとには
淋しさがある。
閉じて、凍えてゆく季節に。
すっかり葉を落としたあとの枝を
見上げた向こうには、たとえ寒くても
青空が広がっていてほしい。
どちらが潔かっただろうか?
どちらにしても、
悲しいか、淋しいか。
辛さは言わずに散る
冬の花がいい。