禅寺小僧

日々の記です。

箒の音





寺の前には大きな松が10本程あって、松並木の枝の下を歩いて
門にむかうようになっている。地面はなんとなく生えている苔なんだが、
落ちてきた松葉が苔に絡んでなかなか掃けない。松葉と苔は仲良くて
ひっついたらちょっとやそっとでは離れよらへんのだわ。キッチリした
性格の人ならもっと丁寧に、葉一本残らず掃除するんだろうけど、
まあ、アバウトに、箒が一回通ったところは、掃除したことにしている。
落葉一枚落ちていないような掃除は理想ではあるんだろうけど、
当分無理であるな。草もぎょうさん生えてきよる。


人間にもストレスをためないような、大まかな掃除をしているんだが、
門前を掃いていると、外人がビデオでずっと撮っていた。そのイギリス女性が
言うのには、「韓国ではお寺で掃除する箒の音であるとかを録音したCDを
売っている。私も持っている。」んだと????
変ったCDもあるもんやが、聞いたらどんな感じなんやろうか。


庭掃除の秘密兵器的存在にブロワーっていう機械がある。
植木屋さんに買ってもらったガソリンで動くやつで、紐を引っ張って
エンジンをかけるとブンブン空気を押し出してゴミを飛ばしてしまう。
手の入らないところも飛ばしてくれるし、なにしろ早いので重宝する。
エンジンをかけるだけでも面白い頼もしい奴なんだが、機心って、
いうのか、なんかあわただしくてこっちが振り回されているような
気がしてくる。箒にくらべて遥かに重く、パワフルな轟音と排気で人間を
圧倒してしまう。







そこへゆくと箒は気軽なもんで、750CCくらいの大形オートバイと自転車
くらいの違いがある。
確かに機械は速いんだけけど、箒だと瞑想しつつ掃除ができるようなところが
あって、心の健康によろしい。箒を通して地面と対話するような、雑巾を通して
床板と話すような、心がのびのび拡がりつつ、仕事もすこしずつ進んで行く。
あなたも如何ですか。