禅寺小僧

日々の記です。

現世こそ。





山川草木悉皆成仏
山も川も草も木もあらゆるものがみんな神々しい、
というところからはじまった仏教であったから、仏様の数が
増えるのは当然であったのかもしれませんわね。
そこから出てくる思想は、あらゆる生物が地球の中で末永く
繁栄しますように、というものですな。この場所を大事にする、
現世主義なんだ。


キリスト教では地上より美しい天国の世界があるから、現世より
美しい神の国の来世を希求する。ここへはないどこかへ、
ユートピアを探すのだから、出かけて行って、新大陸を発見し、
地球が狭くなったら今度は宇宙に出かけて行って、月や火星を
探査したりする。


山川草木悉皆成仏の仏教の思想は、極楽はあの世とか、地球の裏側の
外国にあるのではなくて、つまりこの世の、現世こそが最高なんだ、
と言ってるわけです。先祖伝来の田畑を永々、子々孫々に伝え、繁栄し、
この世を良くしていこう、ということ。


この世は、いとおしい子孫が暮らす場所でありつつ、
たとえこの身は滅ぶとも、未来にいつしか生まれ変わり
蘇ってくる場所で、母なる故郷でもある。
大切にしなくては。