禅寺小僧

日々の記です。

三の滝

 途中越え、花折峠を抜けて安曇川の上流部を下るように車で走ってゆくと、京都から一時間程で明王谷の入り口に着いた。林道の入り口で車を停めて歩いていくんだがアスファルトで舗装されている広い道路でもうちょっと車でこれたら、、なんてラクしたい気持ちがもたげる。ここは比良山脈の西川なんだけど、京都あたりの小高い丘ぐらいの丘陵とはちがってどこまで続くのかわからんような山深く険しいところで、道にも結構崩れてきているんだけど、ゴツゴツの岩だらけ、スケールとふところの大きいところで山の空気を吸ってきた。
 そのうち道は砂利になってきて、かたわらには比叡山の行者が使うんだろう護摩堂があって煙で燻されて真っ黒になっている。街のものから見れば山奥の行者というのは神秘的な臭いがあって、こんな場所で修行する人が街に降りてきたら、一緒にこの山がもっている霊気までつれてきそうな気がする。一足先にひんやりと秋が感じられて、煩悩の一つや二つ、忘れてしまうか心に残らないので、野生人がいたら野生には煩悩ってないのだろうな、とか。思いつつ歩く。山の猿にはあるんだろうかね。こんな場所にいると小僧にすらない。もちろん街にもどれば煩悩だらけの人生なんだけどな。「三の滝」と書いた木の立て札のところから谷に降りていくことになった。そのうち道が無くなって、木の根っこを掴んだり斜面を崩しながらなんとか、底までどうにかこうにかやっとこさたどりついた。なんとも神秘的なところでしたぞ。



  





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