禅寺小僧

日々の記です。

迷いながら歩いてきた











薄暗い、音羽の滝を遡行していると、後ろから二人組がやってきた。もう午後四時ごろで、ふつうの人ならそろそろ山を降りようという時間なんだけどな。ふたりはどちらも美しい若い女性で、湿っぽい陰気な谷沿いの細道には不似合いだった。(もちろんそんなことないんだけど)黙ってると怖い人に見えるって、言われたりるし。一緒に登ることになった。













京都の街をとりまいている、ごく近所の山なのだけど、谷の道はなかなかどうして険しい。このあたり一帯は風化花崗岩が崩落しているようなところでボロボロの土質だから、谷の両側はどんどん削り取られて切り立つ崖になっている。尾根筋から一気に崖が谷に落ちている、あんがい危険なところで、流砂対策の砂防ダムがいくつもある。手がかり足がかりのない、垂直みたいに見える壁には、誰かがハーケン打ってロープを垂らしてくれてある。














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