禅寺小僧

日々の記です。

ねこ

もしもネコを飼っていたら、ためしに捕まえて
背骨をドンと叩いてやるとどうなるでしょうか?
もちろん嫌がってどかかに行ってしまう。
さらに観察をつづけると、クネクネ動いて、
自分でイヤな感じをもとどおりに戻してしまう。
叩かれて、背骨が少々おかしくなったとしても、
自分自身の感覚で、原始的な本能で、直してしまう。
そこが現代の人間にはなくなってしまっていて、自分の身体の感覚で
気持ち悪くなったとしても、そのでまま放っておくか、
それがすすんでいよいよ、病気になったら、
医者のところに行く、ぐらいだろうか。

野生の世界には医者もいないし、病院もないけれど、
実家の畑にやってくるキツネでもキジでもやたらと健康そうで
躍動感があって生き生きしている。
川の魚なんかでも惚れ惚れするくらいに綺麗だしな。
俺の中には、そんな世界への素朴な憧れがあって、
自分の身体の調子は自分の中のもとから備わっている
力で、なるべく、外からのもの、薬にばかり頼らずにととのえたい、
と思う。これって、自力本願っていうのかな?
そんな大層なものでなくても
そうであって、しかるべき、と純粋におもうんだけど。

たしかに実際は、人間の社会は野生の世界よりやたらと忙しくて
昼行性も夜行性もあったものではないし、
あちこちに気を使いまくって、追いまくられ
みんなから外れぬように世間体も気にしないといけない。
あまりにギュウ詰めで逃げ出したくなって、いっそ出家したろか、
なんてことになったりもするわけだけど、
そんなときに病院にいったら、「 ストレスですよ。」
といわれて、薬を飲んだり、酒を飲んだり、
温泉に行ったり、みょうな犯罪を犯したり、
して気分転換をする。けれどそんなことをしないでも
機嫌よく生きていける。そんな方法があるような気がしてならない。
キツネや狸でもそうしてるんだけどなあ。
昔からそんなことを何かしら、心の底で追い求めてる。




せ。