禅寺小僧

日々の記です。

山に伏して












風のマシなところをさがして、いちおうマット敷いてその上にシュラフ
寝ることにする。テントはなし、荷物になるしもってこんかった。山のて
っぺんで眠るのは、大きな儀式でお経をよまねばならんので山の神様の助
けもかりたい、それでわざわざいい気のおりてきている山の頂上までやっ
てきたので、ただの遊山にきたのではない。













ウツラウツラしていると、うわっ!人がいる!! って聞こえた。起きあが
ってみると、若い男女が5、6人いる。夜景を眺めにきたらしく、ひとりで
すよ、って教えてあげた。たぶん少ししたの山小屋に泊まってるんだと思
う。そっちのほうがゆっくり眠れそうな気もするけど、若い人らの迷惑に
なるのもいやだしそのまま眠ってしまった。あら、こんなところに誰か寝
とるって声で目がさめる。おばさん二人組、すごく明るいヘッドランプ、
こりゃその道の人達であるな、との直感あり。いま何時ですか?なんせま
だ周りは真っ暗けなんで。二人はそれからあれこれ喋って、だいぶして山
をおりた。この先の道のことなんかを教えてもらった。そろそろ撤退の準
備をしているとまた一人ヘッドランプでおじさんが登ってきた。さっき二
人組が登ってきたでしょう、常連さんですよ。って言う。毎朝登ってる人
が7、8人はいるらしい。いつぞやは誰かの記念で何十人だか集まったのだ
と。人で賑やかな山なんだな。お世話になったのと、これからの安全祈願
にお賽銭して、ガランガラン鈴鳴らしてゆく。













単三一本で点くLEDの電池が長持ちする1000円くらいで買った提灯くらい
のささやかな明るさのヘッドランプで真っ暗な山の中をゆっくり歩いてゆ
く。テントのなかでならいいけど歩きでこんなのでは役に立たん馬鹿にさ
れるだろうけど、そろそろ行くのが好きなので。やがてゆっくりと夜があ
けてゆく。やっと旅をしている気がしてきた、来てよかった。三群山のレ
ーダーの横を通って、進んでゆくと、こんなところに水場があった。天泉
水とか看板があって、水をつめた。若杉山に向かって降りている途中に向
こうからきた人と挨拶すると、どっから来たの、へえ〜さすがに速いなあ
〜と言われたけれど、ゆっくり歩くのが好きです。














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