禅寺小僧

日々の記です。

安全神話










東日本大震災から一年になりますね。
戦後の日本人にとっての一番大きな失敗かもしれない原子力発電所の事故
は、何故おきたのただろう、どうして防げなかったのだろうと考えています。
今回の震災は1000年に一度のおおきな災害だとか、国難だとか報道されていた
けれど、、同じような大きな津波が海岸におしよせてきたとしても、50年前
だったらこんな惨事はならなかったのじゃないか?


自然は決して人間の都合どおりには動いてくれない。
人間が準備していようがいまいが、おかまいなく、いつも、突然にやってくる
もんだし、アッと思ったときには、たいてい、もう遅い。


想定外とはいうけれど、想定が間違っていたというだけのハナシで、
地震津波の大きさの仮定からしておかしかった。仮定がまちがっていれば、
設計がうまくいかないのはあたりまえだけど、たとえ想定が正しかったとしても、
はたしてどうなのかな?という気がしないか?
思いもしなかったことが、どんどん重なっていったわけだから。


地震津波はいつかかならずやってくる。
1000年に一度であろうがなかろうが押し寄せる。
事故の一番の原因は、人間が原子力発電所を人間が造ったからなのだ、と思えて
くる。


ではなぜ人間は苦労して原子力発電所を造らねばならないのか?














イギリスではじまった産業革命で大切な役割をになったのは動力源だった。
手工業で行っていた綿布の製造に、人間の手の力ではない動力源をもつ
機械を導入したことで作業効率がたかまって、大量生産の時代がはじまる。
蒸気機関の発明により汽車や汽船がつくられ、都市が形成され、資本主義
社会、工業化社会が生まれるが、工業化した国は市場の確保のため、やがて
アジア・アフリカを植民地化してゆく。日本が植民地化されなかったのは
いちばん遅れてではあったけれど産業革命に成功したからだ。


今でも工業化によって経済成長をしようとする発展途上国は、産業部門に
重点的にエネルギー消費を配分しようとしている。
経済成長の根本はエネルギーの消費によって支えられているから、
経済成長率が上昇するとは、エネルギー消費率が増えることに他ならない。
成長するとはエネルギーを使うということなんだ。
20世紀は石油を消費する文明だった。
いちばん沢山石油を消費したアメリカが20世紀の一番の経済大国だった。











人々が現代的な快適な生活をしようと思えば、自動車、照明、冷暖房、通信、
衣食住のすべてにいたるまで、エネルギーを消費しつづけなければできない
ことばかりになっている。


サステナビリティ・経済の持続的発展という魅力的な言葉があるけれど、
発展しつづけるにも、なんらかのエネルギー源の確保なしにはなりたたない。
使ってもなくならないエネルギーとは?そこで再生可能エネルギーが議論される
わけだ。


石炭、石油、ガスこれらの化石燃料は過去の生物の残骸が変化したもの
で、そのもととなった植物やプランクトンは、太陽という自然エネルギー
が作りだしたものだ。
水力、風力も太陽の力によって水蒸気が蒸発して雨がふったり、空気が
あたためられて風が吹いたりするのだし、太陽光発電はそのまま太陽光
エネルギーを電気に変換している。
地熱は地球が発する熱エネルギーだけどそれ以外で、人間が利用している
エネルギーで太陽によらないものは原子力だけだ。










日本では石油が出ない。
エネルギー源を自前で掘り出せない日本の経済は、石油の輸入がストップ
してしまったら江戸時代に逆もどりしてしまうしかない。現代文明社会
をつづけてゆくためにはエネルギーが、石油が必要なんだ。
石油を買うために日本人は働いてきたとも言えるのだ。






159858