禅寺小僧

日々の記です。

大河原に車を停めて、









フネを組み立てて下っていくんだけど、しばらく行くと相楽ダムのダム湖に入ってしまう。道からはあまり見えないところにあるからあまり知られていない。川幅もそんなに広くなく隠れたダムだけど、ちゃんと発電所もある。落差はたったの3メートルほど、だけどダム湖はえんえんとつづいていて、空は高く、両側は緑の山、崖になっている切り立った白い花崗岩の岩肌には、けっしておおきくなれない小さな岩ツツジが割れ目に根をおろして赤い花を咲かせているのが遠くからも見える。祭りの日に出会った若者と恋をした娘が、毎夜五つもの山を走って越えて若者のもとへゆく。村をでるとき手に握ししめたご飯は若者のところにつくと餅になっている。若者と娘はいつもふたりでその餅を食べていたのだけど、ある時、あの五つもの山を走って越えてくる娘はただものじゃねえ、魔物じゃないか?と村人に言われた若者は娘に邪険にしてしまう。若者はその晩はじめて餅を食べなかった。娘は悲しかった。崖から落ちて死んだ娘の血が、ツツジの燃えるような赤い花の色になった。そんな話をこのまえ聞かされた。そんな花が今も咲いている。人に知られていない人外境にきたような。












相楽ダムの発電所側は、急に水が出ます、危険、近寄るな、などと大きく書いてあるので、ビビって反対の左岸側からフネをあげた。ちょっと小さいけれど、ナイアガラの滝みたい。













フネを上げるのにはちょっと苦労したけれど、発電所側には魚道もあって何十センチかの垂直のコンクリートさえ上れればそっちのほうが楽そうだった、けど取水口なんかが怖かったので発電所側には近づかなかったのだったけど、下からみたらアホみたいにおもえてきた。ダムの下で水に下ろしたフネを漕いで、なんとなく水の多い発電所側に近づいていった。ん??滑らかな水面で泡がたっておらず、見えなかった。よくわからなかったけれど、なんと堰がある!ヤバイ!!フネの方向を変える。向きは反対になったけど、フネはそのままバックで進む。反対のまま後頭部から堰に乗り上げ、そのまま落下した。沈没するぞ!!














230007