禅寺小僧

日々の記です。

雲母坂










一乗寺下り松から東に入り、曼殊院のほうへふらふら細道を辿って
いくと、雲母湯のあたりで視界が開けて田んぼの向こうにどかんと
山が坐っている。今日は天気が良すぎるので、ちょっと登ってみる
のだわ。












砂防ダムのところまではバイクか自転車で来れるんですぐ登れる
わけで、京都はなかなか便利なんだわ。ただ同じ場所に戻ってこ
んとあかんけどね。季節がよくなってきたら、いろんなところに
いかがですか。車だと停めるところに苦労するけれど、バイクな
ら大丈夫。でも川沿いに行って花見がいいかもしれませんな。
その場合はバスと歩きになってしまいますな。












雲母坂の雲母はウンモと読まずにキララっていう。なかなかきれいな
呼び方で、京都から比叡山に登るのにいちばん手っ取り早い。花崗岩
の崩壊土で覆われていて、尾根伝いの道だけど、長い間に歩道のと
ころだけえぐれて谷のようになっている。あんまり雲母は眼につかな
いんだけど、夜に登ってもそうだとおもうんだけど。昔々、道がえぐ
れる前はそうだったのか、それとも響きがいいからこの名前になった
のだろうか。













京都市内からも良く見えるところにテレビと電話の電波を送って
いるところがあって、京都市内が下方に望める景色がいい。ベスト
ビューポイントなんだろうけれど、こういうところに立っていると
下の景色を楽しむのと、あそこから逃れてきた、って感じがして
好きなんだな。盆地の底から、建物の谷間から、空と視界の開けた
ところにやってきて、風に吹かれている。野原にいて、風に吹かれて
いる素寒貧なのが心の原風景なのか。











ベンチで休憩していると、犬がやってきた。カイカイ病にやられて
るみたいで、毛がぬけて、皮膚がみえるところではカビみたいのが
覆っている。写真でみるとたいしたこと無いみたいに見えるんだけ
ど。なんか欲しいのか、近くによってきた。もうそれほど長くないか
もしれない、おとなしい、犬。たぶん前は白いきれいな犬だったんで
はないか。ソフトバンクの宣伝にでてくるような奴だったのかもしれ
ん。首輪もしてない。こんな場所でよく冬越せましたな。ここは登山
者がきっと休憩するところだから、お菓子とかもらってたんかな。
彼に獲物が獲れるわけではないだろうから、人からの施しで命を繋
いできたのだろうな。病気になって、面倒みきれなくなった飼い主に
車で連れてきてもらったのにちがいない。そのときに首輪も外して
もらったか。いつか京都を望むこの山に横になるのか、回復して山を
降りてゆくのか。












頂上にのぼってゆくけれど、何にもなし。
旧スキー場跡のところまで降りて、おにぎりとパン食べて、シート拡
げて、陽がでているうちに、ちよっと昼寝した。








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