禅寺小僧

日々の記です。

ひさかたぶり









朝、目を覚まして、いまは使われなくなった禅堂に入った。
かつて脚が痛くて、こらえて、胸の中でウンウン言っていた。
ここで二年間、寝起きして、修行して、苦労はしたけれど、
いいものを見せてもらった、若者が集まってシンプルな生活を
体当たりでしていた。











阪神大震災の起こったときもこの禅堂で朝の座禅中で、
真ん中につるしてあった電球がチカチカ点いたり、消えたりした。
ゴーーーーーーというかなり長い地鳴り、これはかなり大きいぞ。
と、禅堂全体がユッラユッラと、えっと思うくらい。
コンニャクが震えるようにぐなぐにゃに揺れ出した。
禅堂は建物の真ん中に柱のないホール構造で耐震強度はそれほどでもないと
思われたが、なんとか、耐えた。
「危ない!逃げろ!」誰かが叫んで、みんな走り出した。











瓦が外れて雨漏りしだしたのをみんなで直した。
壁の痛んだところに紙を貼ったのはそのままだった。
毎日見上げていた山岡鉄舟の扁額は外されて今はなく、
毎朝、雑巾を手に持って、走りながら拭いていた単縁、
ぬめのように光っていた檜財も、輝きを奥のほうに仕舞い込んでいる。
かつて青春のすべてをつぎ込んで寝起きしていた修行僧はいなくなって
一般の方の研修とかに使われているらしい。
畑が庭になったりして綺麗になっている。
かつての聖地で体操して帰ってきた。