禅寺小僧

日々の記です。

今時の桜






麦畑を歩いてた。
このあたりは北海道に次ぐ麦の産地で、
お百姓さんに聞くと、この地方は麦刈りをしてから
田植えまでのタイミングが丁度いいそうで、こんなに一面の麦畑に
なるんだと。二条の麦はたいていビール麦らしく、






おたがい知らぬまま、胃袋に入ってるんでしょうな。
麦秋の景色はは素晴らしいんだそうだ。







下から眺めると山の上に桜が咲いている。
たぶんあそこまで行けるだろうと、予想をたてて、
道を探る。
村の中を抜けて、やがて地道になり、溜池や廃舎を過ぎて、
桜の下に辿り着く。







ここはもと棚田だったのが放棄されていて、ご先祖さんの
力仕事も山野に飲み込まれつつある。昔は代掻きの田んぼの上に
花を散らしていたのだろうが、今はもう尋ねる人もなく咲いている。








子供の面影がある、
地蔵さんに供えられた花が枯れるがまま、
風にゆれる。







墓場の匂いだ。
ここには人が埋められている。
花の下で眠るのを願った人が、いるのだろうよ。







今年も旅に出ていて、都の花は見られまい。
だけどやっと今年も花を見れる。
ひとり山の上で、今は桜。







風が渡る。
花は写真に映りそうで、写らない。
ツバメが飛んでる。