禅寺小僧

日々の記です。

仏教のイメージ









留学生たちが帰り始めた。
ここのところ毎朝留学生がやってきて、一緒に掃除、座禅、お経
なんぞをしていたんだけど、彼らの学年末なのでそれぞれ故郷に
帰る時期がきたみたい。
最初、玄関に座禅をしたいという人が来て、日曜日に来てください
といったところ、毎日着たいという。さらに留学生の友達がぞろぞろ
やってきたので、連日、不思議なことに寺が賑わうこととなった。
それはそれでいいことだった。


最初に来た留学生はアメリカで2年座禅していたらしく、坐を組んでも
脚は痛くないようだった。ほおっておけば何時間でも座禅してそうな人
で、しばらく寺にいるうち
「日本に来て仏教のイメージが変わりました。」
と言った。
ここは普通のお寺だから、どうもきたところが悪かったらしい。
道場に行きたいようだったが、そこはそれこそ真剣な修行をしている
ところなので、見てみたい、体験してみたいというような人は入れない。
どうして入れないんですか?
といわれても困る。入りたかったら何年か休学して入ってもらうしかない。


つまり厳しいところは見ずに帰ってしまわれたので、日本の仏教の
評判を落としていることでしょう。
修行者を指導する人は老師といって、道場で10年から20年修行して
禅問答を終わられた方のことで、われわれは凡僧、普通の坊さんで、
坊さん界の底辺を守っているだけなんだけど、アメリカ人の想像する
坊さんはもっと偉い人のことらしい。


だから、
「他を探して行きなさい。」
「座禅会しているところがありますか?」
「座禅会なんてしててもしてなくてもいいから、尊敬できる人のところに
自分で行って頼みなさい。」
と勧めていたのだけど、とうとうそうならないままになってしまった。


彼女が尊敬するアメリカの老師はホームページを見せてもらったら、日本の
道場で20年修行した、と書いてあったが、その道場にいたことがあるけど
それは真っ赤な嘘だった。
どうしたらいいんだろう。