禅寺小僧

日々の記です。

徴兵制になったら。





今じゃ空き家になってしまったけれど、父が小さい頃は
ひいじいさん、ひいばあさん、じいさん、ばあさん、母親、
兄弟3人、親戚の子供1人。と9人住んでいたのが、西隣も
空き家、東隣はばあさんが1人、3軒あわせてもたった1人
住んでるだけになってしまった。


たいていどこの家でも玄関を入った土間御の横に洋間がある
けれど、昔は家の中で牛を飼っていたあとを改造した部屋だ。
牛も家族同様に暮していた、と思いたいところだけど、実は
牛泥棒に盗まれないように、ということであった。


金銭的にはそれほど貧乏であったわけなんだけど、繁栄という
のではその時代が一番繁栄していたのではなかったろうか。
人が多いのが繁栄だろう。五穀豊穣、子孫繁栄。
それくらいのレベルなんだけど。


もし、隣の国のように徴兵制になったら、兵隊になるかわりに
代替的に福祉施設で働くとか、農山村で農林業に従事するような
制度ができないものだろうかと夢想している。


少しばかり仏教の修行をさせていただいて、幾ばくか心に残ること
もあっただけだけど、難しい宗教哲学を学んだというより、何年か
土と大地と暮させてもらったということだけなのかもしれない。
哲学的な勉強は何もしてないけど、なんか落ち着くよなあ、って
言っていたな。もちろんできる人は違うのですけれど。


かつて父親のように、農山村から働きに町に出てきた人たちには
子供の頃には土や大地とかかわって生きてきた体験があったろう。
生きるってことを考えても、地に足がついていたということが
なかったろうか。