禅寺小僧

日々の記です。

 
なんでも地味なのが好きで、大好きな椿ももちろん、赤い、一重の、ただの椿だ。山道の傍らに咲いているような、普通の椿にたまらない色気を感じている。だけど、一本の樹から赤、白、ピンク、それらの混ざったの、が八重咲きになってでてくる、五色八重散り椿というのも好きなんだ。これは大木で400年程経ているという。枝いっぱいにつけている花を、風が吹き付けて落とす。花びらの根元が樹から外れて、落下しつつバラバラになってゆく。サクラのように風に乗って飛んでゆくというふうでもなく、一重の山の椿みたいにポトリと落ちる、というのでもなく、心の中でドサッと音がするほどの勢いで落下して、地面に散らばり、はかない。最後の最後まで絢爛と量感を感じさせてくれる。

 サクラと違って、樹の下でお弁当を広げたり、酒盛りをしたり、という気にはとてもなれないけれど、この樹を見ているとなぐさめられる。




















こんな樹を育ててみたいと庭に植えてあるけれど、400年かかるとすればとても寿命が足りないヨ。