禅寺小僧

日々の記です。

木春の樹の下には、









大っきな桜の樹もいいな、きれいな樹だけれど、
あの樹は山桜なんだろうかね、となりの寺が模型
みたいな気がしてきた。
遠目の桜もいいよな。
今年はとうとう友達と予定があわなんで、桜の花見が
できなんだ。
ゴザ広げたところに、できればあくまでブルーシートではなく、
酔っぱらって、ひっくり返って、愛でてみたかったのだけど、
毎年しているんだが、おさそいもなく、こんな歳もあるのだな。













ぽってり、いい花のついている椿が見えたから、
バイクをとめて覗きにゆく。あんまり立派なものだから、
なにかの品種の椿かと思ったのだけど、近づいてみると、
そうではなくて、ふつうのヤブ椿なんだ。
ただの薮椿が誰に賞でられることもなく咲き誇っている。
しっかり咲いていた。
痩せた土の、山の中に入ってゆくと、白椿の樹があった。
なんの肥料もなかろうガレ地に、凛々しく咲いておった。
枝いっぱいに、紅い花をつけた薮椿もあったのだけど、
原始のその風情はカメラに写ってくれなかった。
春の木なんだけど、桜のように人に見てもらえないけれど、
見てみてみて、と叫ぶことがない落ちつきがある。
桜も椿も山にあっていい。
けれど、椿は眺めて賞でるだけだな。
どんないい樹であったとしても、椿の下で酒を飲もうと
思う人がいないのは何故なんだろ。







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