背の高い気持ちのいい風のふく

林を抜けて、峰をゆけば、琵琶湖も一望できるし、その反対には日本海もすぐそこにみえる。歩いているのは太平洋（っていっても淀川水系が流れ込むのは大阪湾で瀬戸内海なんだけど）と日本海を分ける分水嶺であるんだな。つまり日本列島の背骨を歩いているようなモン。空はあくまで高い。日本海側から太平洋側へ電力を送る巨大な鉄塔がいくつもあって良い目印になって迷うかんじがしないな。たまに、バイクでガソリンスタンドの横を通るときガソリンの匂いがすると、おお空気の中にガソリンが混じってるぜ、この空気吸うたらバイクも速くなるんとちゃうか、って思うだろ、もしかしたらこのへんの空間には、交流の電気を帯びているのかもしれないし、なんか得なことがあるのかもしれない。コンパスが狂うかもそいれんが。鉄塔と電波の設備とでときどき広々した場所を作ってくれてある。乗鞍岳からの下り、滑りやすそうなところが少しあっただけで特に難所はなし。

黒河越えまで降りてきて、公衆トイレがあった。これで腹具合もスッキリ、ばっちりになった。無敵である。後輩二人で地図を覗きこんで相談している。だいたい、なんとなく、わかった。たぶん、時間がヤバいんで急ぎましょう、寒風までは無理で、赤坂山から降りるってことだろ？

うん、寒風はあきらめよう。いえ、このままで行くとやばいです。今までだいたいコースタイムぐらいで来たんですが、このままコースタイムでいくと、帰りの最終バスまで余裕が１０分しかありません。

そうか、わかっとるよ。行け行け、急いでドンドンっていうことなんだね。

それが、エスケープできるルートはここだけなんです。。

ここで計画を変更して、エスケープしたほうが賢明といいたいような無言の意見、希望、雰囲気が、なんとなく全員のぶん、漂っている。今日は危ないは橋渡らない。。

うーん。。。温泉入りにいこか。。温泉はいりたいねん。

ルートを離れることにする。

延々林道を延々下らねばならん。その横をオフロードバイクが走って行って行きよった。かっこいいな、ああ250ccくらいのオフロードがいいな。バイクにぴったりのダート道だった。今年最後だなっていう山桜を眺めつつ降りる。このあたりは雪国だからユキバタツバキなのか、それとも藪椿なんだろうか。崩落した土砂がたまったようなところに椿の木が多いような。綺麗なんだけど、写真にはならなかった。水路に落ちて流れに洗われる鮮やかな花弁。枝から離れて地面に落ちても咲いているのが落ち椿。川を流れてゆくのは、紅い花。

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