禅寺小僧

日々の記です。

ことしも。


   
       
        
 
 ひとやすみばかりしてて、元気です。
                                      、
 年末は珍しく小学生のときの彫刻刀をとりだしてきて、板を彫った。デジカメパソコンを印刷するのもいいけれど、飽きてきちゃったのと、調子がイマイチなのであきらめて、原始的にいくことにした。メッセージは、今年もよろしく、もしくは、まだ生きてます。ぐらいの簡単なものだから犬をいれて、ことしもよろしくと彫ったらコメントとかも書きたすことはほとんど無くなった。仕事中のヒマな時間に図案を考えて彫ってゆく。そういえば父親は金ノコの折れたやつを研ぎだしたのに柄をつけてそれで彫っていたな、とか思いつつ。
 
 版画というやつは、左右逆像だし、彫っていったところが白くなる。原版を作ってそれに墨を塗り、紙に移す、という作業をしていると、なんとなく、暗室でモノクロ写真を作っている気分になってきた。版木を彫り進んでゆくのはフィルムに光を与えて露光しているようだし、仕上がった版木ははがきサイズのネガのように思える。そいつに筆で墨を塗りたくって葉書を押し付けるのだけど、素人の未熟さも手伝い仕上がりはマチマチで紙をめくってみるまで、どうなったかわからない。バラバラそのものなのだけど、期待と不安の程よくブレンドされた瞬間があって、童心に帰らされた。深夜の部屋で大の大人が葉書を板に押し付けながら。        
           
 そんな品質バラバラのモノクロ版画であったけれど、朱のハンコを押してやればなんとなく年賀状といった顔が急にでてくる。年始早々アナログっぽい幕開けになりしたが、どうぞよろしく御願い致します。
       
セ。