禅寺小僧

日々の記です。

空。



 葉っぱが一枚も無くなって、円山公園の桜も寒風に晒されるだけで、
殺風景にも見えるけど、幹のなかでは来るべき春に向けて、
何事かが着々と進行しつつあり、モリモリ充電中のようであるな。
来年のサクラも見事でありますよう。

 

 今日は遠く大西洋の島からわざわざ家族で、数珠を持って尋ねてくれて、
本堂で般若心経をあげた後、火鉢の周りに座り込み、
錆び付いて動かなくなった脳の襞からカタコト英語を引っ張り出して、
賑やかだった。壊れたカセットテープを無理やり回そうとするようなもんだったけど、
除夜の鐘やら、正月元旦6時からの諷経を約束し、別れた。
  

 遠い、白夜と暗黒、火と氷の孤島で祈りつつ暮らす人々に、
歳旦、暗闇の中、日本の僧侶がスートラを誦む。声低く。
聴いていてお経の意味などわからないのは日本に住んでいてもそうなのだけど、
かの島の人に、その声はどのように伝わるのだろうか。