禅寺小僧

日々の記です。

大津絵 鬼の寒念仏








図柄は大津絵の「鬼の寒念仏」です。大津絵とは江戸時代に今の滋賀県大津市東海道沿いで大いに売られていた土産物の民画です。安価なそれでいて肉筆画である大津絵は、東の浮世絵、西の大津絵と言われるほどの人気でした。江戸時代の大津絵には作者の署名もなく、無名の職人画家たちが大量に描き続けた画の線は伸びやかで衒いが無く、著名な画家にも大いに評価されています。簡略で平面的な画風のものが多いのですが、そのことがかえって図柄のキャラクター化に拍車をかけました。親しみやすさやユーモアで人気の、現代日本の漫画やアニメ、ご当地ゆるキャラの先駆けとも言えます。誰が見てもわかる「鬼の寒念仏」の図柄は長い時代に渡っていろいろな作者によって描かれ続けたのです。













横に書いた
「鬼は外、福は内」節分のあたらしい年の節目に、豆を播いて唱えるおまじないです。「災いは家の中に入ってきませんように、ハッピーなことことが家に舞い込みますように」










戯れ歌に「鉦たたき 金無きゆえに かねたたく 金さえあればあれば 鉦たたかぬ」
というのがあります。人間の愚かさや邪悪さを「鬼」として描かれているのですが、「鬼の寒念仏」の鬼が着ているのは僧衣です。外見は立派な僧侶が仏教の修行として、冬の寒い中を鉦を鳴らして托鉢をしています。しかしその中身はお金欲しさにやってるだけではありませんか?という風刺なのです。






 



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