禅寺小僧

日々の記です。

上七軒の花街で








おぐらさんは10年ちょっと前にはよくお会いしていた人で、そのころ京都で庭師の修行をなさっておられた。造園の大将と和尚とが友人だった関係で、休みの日にお寺にお稽古にこられていたのだった。祖母が健在で週に二度ほどお茶を教えていて、庭を掃いて水を打ったり、道具の出し入れを手伝ったり裏方を小僧はしていたけれど、席にいれていただいておいしい一服をいただいたりもした。華やかきらびやかな社中さんたちの中にあって他の人とちがい、おぐらさんはぺったり地面に足がへばりついて、重量もあれば中身もあるしっかりした手を持っておられた。自分の身ひとつで世界に飛び込んで開拓しつづける安定感。勉強熱心でもある。若いのになんと肚のすわっておることよ。







その頃、木屋町三条上ル東入ル二階のビオロン(懐かしい響きだね!)で版画展をされた。そこは、薄暗い、それもかなり暗い店内で、クラブのボックスみたいな落書きがいっぱいある、丸太で中二階が作ってあるような不思議で気楽な酒場で、店員は学生で酒は一杯500円くらい。その壁に作品をかけられていた。何年かごと、大阪や京都で版画展をされるたびに案内をいただいてお邪魔させてもらってきた。今度は上七軒の町屋で、人形作家のかたと一緒になさるという。おぐらさんの作品は無機質な美術館やギャラリーで美術品として展覧されるよりも、ちょっと生活感のある空間の中でまわりと響きあう楽しさがある。見ていて、ニンマリ思わず微笑んでしまうあたたかさ。楽しみだな。






おぐらみゆき  まるおかみか
版画と人形展


2014年2月9日(日)〜2月11日(祝)
11:00〜18:00(最終日は17:00まで)


ぎゃらりぃ和こころ
京都市上京区今出川通七本松西入ル真盛町716
まつひろ上七軒 2階
075‐467‐1927


京福電車「北野白梅町」下車徒歩10分
市バス「上七軒」下車徒歩2分
北野天満宮の東側、上七軒の通りの郵便局の向かいあたり。






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