禅寺小僧

日々の記です。

川が好きで、河原を愛して










いまでも橋にさしかかって水が流れているのを見ると、ホッと息がつげて、心が洗われたような気がする。ゲームなんかもなかった頃、自転車で友達と川に魚釣りに行くのが楽しみだった。大きな鯉が魚が釣れればもちろん嬉しいのだけど、鯉も用心深くて賢いから、そんな幸せな目に巡り会うことはめったになく、たいていはたいしたことない釣果なんだけど、川にいることだけで心が晴れるようだった。土手に座って空と雲と水の流れを感じているだけで、みんなでおしゃべりしている内容もどうでもよくなった。心はどこかに遊んでいたんだったな。川に行くってことは嬉しいことだったんだ。


ガンジス河に行ったことはないけれど、たぶんこんな感じなんかなって、思いながら日本の川を眺めている。釈迦の一生は河に沿って説法をつづける一生の途中で息絶えたのだったし、禅宗臨済禅師は文字どおり、川の渡し場のほとりに住んでいたからそう呼ばれたのだった。河原にたまった大量の白砂を眼のまえにすると、枯山水も山の風景じゃなくて、河原の風景なのかもしれない、ともおもう。河原っていうのもなんだか聖地だ。






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