禅寺小僧

日々の記です。

雑草みたいな












こんなところに蒔いた覚えもないのに、大きく我が者
顔に四方八方に葉っぱをのばして育っている菜っぱが
眼についていた。ちゃんと植えている、かつお菜の横
あたりに根をはりめぐらせて葉柄をいっぱいにのばし
て人間にちゃんと育ててもらっている菜っぱを覆って
太陽を独り占めしようとしてやがる、ふてぶてしいや
っちゃ。葉柄が太くたくましくなって本数が減ってい
るのだけど、たぶん蕪菜のなれのはてなのじゃないか
な。蕪菜は根ががカブラでで葉っぱが水菜みたいなな
んとも半端な野菜なんだけど、それが他の菜っぱと交
け合わさって雑種になったんではないかな。菜っぱっ
てのは花が咲くとすぐに交雑してしまって、種を採っ
て次の年にまいてみると、見事にいろいろな菜っぱが
育ってしまう。水菜は昔から京都の名産で、千筋京水
菜とかいって白くて細い茎がたくさんできて歯ごたえ
もよく名産となっている。また簡単に栽培できて、か
つたくさん採れる。ところが花を咲かせて種を採ると、
芽がでたあたりはいいのだけど育っていくうち、なん
ともヘンテコな奴ばかりになっていく。葉っぱは
水菜みたいだけど茎の本数はすくなく、色も緑色でか
つ固い。勢いだけはやたら強くて大きく育ちすぎ、誰
も食べない菜っぱになる。これは何て野菜なんです
か?って聞かれても、菜っぱなんですよ。というより
ほかない奴らなんだな。種さえ蒔いとけば雑草より強
く草引きもしなくていい奴らですよ。そんな奴らを育
てても何の役にもたたないのだけど、やっぱり春には
雨に菜の花の咲いているのを見たいし、そしたら種も
採ってやりたいし、って思うとこんなことになってし
まう。














一面に生えていて入ってくるなオーラをだしている畑
の中にズカズカ入る。剪定バサミを大きくひらいて根
っこをバチン!と切ってやったら、やっぱり太い。蕪
菜のなれのはてだ。太い葉柄のよこから細い茎もでて
いるけれど、全体に細い茎がたくさんある元の姿から
はほど遠いな。この寒さで毎朝カチカチに凍っている
のに葉痛みも出ていなくて強健そのもの。育てている
かつお菜は凍傷にかかって痛んでしまっているのも多
いのだけど、こいつは丈夫そのもの。こういうふてぶ
てしい奴を食ってやろう。もう亡くなってしまわれた
けど大阪の方で魚を食べさせてくれる人がいた。黒門
市場まで仕入れにいきますのや。ハモでも鯛でもなる
べく恐いような顔してる強そうなヤツ買うてきますね
ん。それ食うてこっちも強なろと思てね、って言うた
はったなあ。穫った野菜は洗って漬け物樽の中に押し
込んでやった。
















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