四弘誓願 - 禅寺小僧

｛意味｝
数限りない人々をさとりの彼岸に渡そう
尽きることのない煩悩を断ち切ろう
量ることのできないほど深い仏教の教えを学びとろう
無上の悟りを成し遂げよう

漢字をみているだけでも意味がわかりやすいお経だから、解説もなにもい
らなくて、声に出して詠んでいるだけで気持ちいい。四弘誓願はすべての
仏教徒の根本で簡単にいえば、自分自身が仏になろうということだから、
朗々とあげていると気分がいい。みんなであげるときは、たいていいろん
なお経をあげたあとに、最後に三回くりかえしてあげるのが多い。地面か
ら天にむかって、ググッとエネルギーが湧いてくるような、全員の全身に
満ちてくるような、そんなお経なんだ。物語でもない、哲学でもない、ス
トレートに願いそのもの。ただスローガンの内容が壮大すぎて、実際にす
るのは不可能じゃないのと思うかもしれないけれど。

数かぎりない人々を助けよう、と聞いて思いうかべるのはマザーテレサの
活動じゃないだろうか。そんなことができるのはマザーテレサだからだ、
自分とは関係のない無理なことだと。結果をみれば壮大で偉大なことだけ
ど、眼の前にいるたった一人のために、というところから出発していて、
貧しいインド人のために、社会の改革のために始められたわけではなかっ
た。社会のために、人のために、という理想から出発すると相手の顔を見
ずに、自分の思いが先走りし、近所迷惑やおせっかいになってしまったり
してしまう。バッターボックスに立った打者が、今飛んでくるこの一球に
精神を集中する。小さくこりかたまるのでなく、神仏に祈り願うことで開
けてくる心があって、結果として打率が出ましたというのと同じようなこ
となんだろうと思う。

170270