エコ嫌い

会議が終わって、最終の新幹線にまで一時間半ほどある。
元ライダーの友達が迎えにきてくれることになっている。今では自転車に
乗っていて、自分が自分でなくなるような気がしたらかな？ヒョイッと旅
に出る。エラい馬力だな、惚れ惚れするよ。

昔はちがったけど、いまは先進国のどこに行ってもたいして変わらない。
おんなじよ、どの国でも複合商業施設のモールがあってシネマがついてて、
シネコンっていうやつ。アメリカにあるのとおんなじようなのが、うちの
近所にもあるよ、っていう。確かに、そういやマニラ行ったときに、イオン
モールみたいのなのあったわ。この人は毎年どっかへ一人旅している。２、
３年前は南米大陸の最南端の街へ、南半球最南端の、といえば地球最南端だ
な、アルゼンチンの先のフエゴ島のウシュアイアってとこまで行ってきた。
そのときは、さすが元ライダーの思考ですね、と思えておかしかった。バイク
乗りってのは不思議なもので、端っこがすきなんだ。末端愛好家。九州最南端、
佐多岬。北海道最北端、宗谷岬。北海道最東端、納沙布岬、沖縄は西表までや
ったけど、やっぱり行ってしまった。その先に何がなくても、道があったら、
どんどん走っていってしまうのが、ライダーの習性なんとちゃうやろか？で、
岬で写真撮ったり、キャンプしたりする。そんなところには、バイク乗りが集
まっているから友達になって、何日かして別の場所で、もう一度会ったりする
。行動パターンの似たような奴が沢山おった。

私がエコロジー嫌いなの知ってるでしょ。
うん、昔そう言ってたな。
地球にやさしくって、おかしいでしょ。地球に優しくしてどうするの。
それだったら、人にやさしくでしょ。
まあそうかもな、地球は人間が石油を最後の一滴まで使ってもどうって
ことないかもしれないし、半減期２万年の放射性物質を蒔き散らしても
１０万年もしたら、あるいはしなくても、どうってことないのかもしれない。
地球にやさしく、って言ったときの視線は人間のほうに向いていないような
気がする。人と人が眼を合わせていないような、カウンターに座って向こうの
同じ方向を向いていて、お互いが正面から相手を見ていないような、モノを
見ているような気がする。エコノミーのためのエコロジーであるかのような。

人間は自然を変えることができる。そこには自然と人間の和が必要だろう
けれど、その根本は人と人の和だろうと思う。良い人間関係、人と人の和
が基本で、根本で、その先に自然と人間の和があるはずなんだが。人間関
係と社会と経済に飲み込まれて自分を見失い、悲しい結末を迎える人が沢
山いる。地球のことなんか後回しでいい。地球にやさしくってオコがまし
い、自然と仲良くぐらいでいいのでないの。

流行りだった、文化住宅とか文化ナントカが、今は輝きを失っているよう
に、あと何十年かすれば、エコ住宅やエコなんとかもそうなんのかな。
金曜日の最終の新幹線の車内はぎゅう詰めで、両側の席の人に気をつかいつつ
居眠りして、目が覚めたら、もう名古屋まで帰ってた。

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