禅寺小僧

日々の記です。

月釜にて








とある寺の懸釜にある研究者の先生が生徒さんを何人か連れて
行かれたところ、正客、次客ときてそのつぎに若いカップルが
ふたり入ったんだ。なんで茶席に入ろうと思ったのかはわから
ないのだけど、2人ともお茶のことは何も知らず、想像するに
一度行ってみたかったんじゃなかろうか。


そんなわけで、懐紙も菓子切りも何も持っていなかった。
運ばれてきた御菓子はきんとんで、それも柔らかい柔らかい
きんとんで、手で持って食べられないようなシロモノだった。
困っているところに先生が、これ使う?と懐紙とミニサイズの
黒文字を分けてあげた。生徒を沢山連れて行くからみんな持って
きてないだろうからいっぱい持ってきていた。













御菓子を懐紙に取って、黒文字で切って、そう、食べたらいいのよ。
茶碗をこうして、飲んだらいいのよ。
拝見は、これは大事なものだから一度、畳のへりの外に置いて、それから、。
と教えてあげて、無事、その一席終了した。
出口のところで、その青年は先生と話したそうにしていて、
長いことお茶をされてるんですか?
お茶をするって程、何にもしてないわよ。
あなた、今日どうだったの?
お菓子とお茶、凄くおいしかったです。感動しました。
そう、だったらこれに懲りず、次も必ず、来なさいよ!
って念を押しといたから彼らまた来るんじゃない。
とおっしゃっていた。












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