座禅の重心3
身体の重心をどこに置くか、ということと身体の作用のことなど
あまり注目されることがないのだけれど、力を出しやすくなったり、
身体が柔軟性が変化したり、雑念が減って心が穏やかになったり、
いろいろなことがあります。
タメシに立ってみて、歯を噛んでみましょう。
右足に重心をかけると右側の奥歯に力が入れやすくなり、
左足に重心をかけると左側の奥歯に力が入れやすくなります。
やってみてください。筋力は筋肉の量で決まると思われがちですが
実際に出て来る力の量は筋肉の量が同じでもちがいます。
みせかけでなく、力の出せる身体を育みましょう。
坐禅会の参加者に、ちょっと身体硬いですねえ。と声をかけると
たいてい、ストレッチして柔らかくしときます、と答がかえってくるけど、
重心の置き方でも柔軟度は変化する。
足を揃えてからだを前屈してどれくらいか計っておいて、
重心を足の指やら踵やら小指側のへりやらから、内側に意識してもってくる。
身体の中心を丹田に感じれるなら、その中心を足の中心の一点に集中する。
つまり中心の一点重心をおいて立っているようにすると、
それだけでラクに柔軟になるものですよ。
ストレッチしなくても。
着物で集まって机と椅子で会議したとき、椅子に坐った衣の前が
どうしてもはだける人の重心を観察してみると、その人も足の中心でなく、
周辺に体重がかかっているようであった。不思議なことにそれだけでも
着物の裾がはだけやすくなってしまう。
座禅の重心で歩いてみたらどうなるか、真ん中に重心をおとしていると、
足の指などに力が入れる必要がないのと、足の中心に重心を落としていると
身体のまわりの筋肉に力が入れずにいれるので、ゆったり歩ける。
それで道行く人から、ヒマそうですねぇ〜。とからかわれるのだけれど、
あれ、歩きながら座禅してるんですか、境内を掃除しているおじさんが
言った。わかる人にはものなんですねえ。