禅寺小僧

日々の記です。

甘みと酸味と漬物の味?

 P氏と、それぞれの醸した酒を持ちよって味見してみる。
それぞれ、ぜんぜん違う味であるので不思議なものであるね。
奴のは辛口、こっちは甘口で、彼の評では、
「甘みと酸味が同居してるなあ。でも最後、漬物の味
がすんねん。漬けもんの樽で作ってるからとちがうんか!」
とのことであった。何事もやってみるとなかなかに、
難しいことであるし、味という個人的感性の世界であってみれば
なおさらやねえ。


田舎の親父に「昔はそんなん作ってたか、」聞いてみると、
父の祖母が作っていて、
「そやし、子供の頃、飲んでいたぞ。
ようは甘酒をそのまま置いといたら、酒になるんや。
けど、ロクなもんはなかったな。」
「婆さんは、見つかったらエライことになるんや。
って言うとったけど、どこの家でもだいたい作っとった。」
そうや。


自家製の甘酒がにごり酒に変化したようなものは
味からいうと現代の清酒とはまったくの別物で、
ただ、人間の求める味のこの方向に向かっていたのだな
ということだけ、想像できる。漬物臭いのは嫌われてたはずで、
おそらくはその「糠っぽい匂い」を克服するために、
仕込み米を高精白したり、酒米という品種を作り出してきた
のではないか。伏見や灘の水を求めたのではないか。


やはり、ひっそりと、見つからないないように、
味わうべきものなのだろうか。