禅寺小僧

日々の記です。

栗でキントン











栗の樹が二本あって、早いほうは九月の第一週になると実が落ちてくる。栗拾いをする歳でもないけど、やっぱり拾いにゆく。半分青くて、半分茶色になったようなイガの割れ目から覗いた実を、イテテと言いながらほじくり出す。八百屋で売ってるようなのは皮が乾燥して萎びてるかもしれないけれど、落ちたて、拾いたての新鮮なのは、おっきくて皮もピカピカ、ズッシリ重みがある。今年の夏も、暑かったなあと、手のひらにのせては眺めて、重さを楽しむ。さらに愛してしまい、食べてしまいたくなったら、キントンにしてやりたい。栗でキントンをつくりたくなってくるでしょ。(ふつう、栗きんとんは栗を湯がいて、半分に割って、中身を出し、茶巾でキュッと絞って作るけれど、むつかしそうだし、)栗で餡をつくって菓子にしよう。あくまで京都風にいこう。













?大きな栗の樹の下で、立派な栗を拾ってくる。この栗は散歩の途中に狙っている人が多いから、早い者勝ち。お客さんのあるときは絶対に負けるわけにはいかぬ。うかうかしていてはいけない。カラッポのイガばかり拾うハメになり、実は穫れずに痛いイガイガの掃除だけしなくてはいけなくなる。持っていくなら、イガごともっていってほしいのだけど、そんなご奇特な方はおられません、むなしく散らかってます。













?夜討ち朝駆けの効ありて、収穫があれば、洗って鍋で一時間湯がきます。包丁で半分に切って、中身をスプーンで取り出します。新聞ひろげた上で、黄色い実にスプーンの先をつきたて、スコップよろしく掘り起こしてそのまま口にもっていって、まだあったかいのをハフハフ食べてもよろしい。テレビ見つつ、番茶飲みながらほじくればもうキントンなんかどうでもよくなってしまいます。このほうが旨い。ほじくりながら食べるのが。











?ほんとうはお客さんも一緒になって新聞の上でほじくればいいわけだけど、そうもいかぬので、あんこを作りましょうか。殻から出した身をザルで裏ごしにかけます。そこに水飴をいれるとそれで餡になります、あらいザルをとうしたのを手で形にしたらできあがり。













243989