禅寺小僧

日々の記です。

舞踊専攻公演









午後、電車に乗って出かける。駅の周りは何もかも新しく作りなおされ、
清潔で今風なんだけど、小さい箱をいっぱい作って道の両側にギッシリ
詰め込んだようなおもむきがあった。滑らかで柔らかみのある乳白色の
壁なんだけど、表面にちょっと皮膚になじまない堅苦しさがあるような。
自分ひとりだけがなじめないのかな。


舞台の上に沢山の若い人たちができて、舞いはじめる。
舞踊の公演を観ると、動けるのっていいな、っておもう。自分は舞台の
上で動くことはないから、動きがあるっていうのがうらやましい。
大阪城ホールで有名音楽家のコンサートを観たことがあった。海外から
ダンサーがきて、音楽と一緒にモダンダンスをした。その作曲家はその
作品をオペラといっていたな。動きがあるっていうのは飽きない。
けれど我が身のことを振り返ってみれば、舞台の上でじっと坐わっている
だけなんだからな。舞っていても、坐わっていても、観客が感情移入でき
ればいい。


モダンダンスの舞台には床があるだけで、大道具、小道具のたぐいは何
もない。ダンサーと照明と音楽のみの中で若い肢体がいきいきと弾んで
気持ちよかった。振付師の振り付けで踊っているのだろうけれど、劇場
を出て、どこかの山の中の芝生の上に行ったらどんなだかかな〜とか
想像してみた。先生の指示で動くのでなくて、深い山や、冷たいせせ
らぎ、射してくる太陽の光、さえずる鳥の声、自然の精霊のなかで若い
あなたが感じることを、そのまま踊るのを観てみたい。


でも、我が身を振り返ってみると、今日も紙に書いてあるお経の字ずらを
目でなぞって、声をだしてしるだけなんだな。


上品で華やかで幸せないい舞台でした。












160148