禅寺小僧

日々の記です。

夢で手術して、本当に頭痛が治る話









人里はなれた山の頂上あたり、草原の道の上にいる。アスファルトで舗装
されてはいるけれど、他に人は誰もいず、車に乗っていないから、どうし
て帰ったらいいかわからない。夕暮れである。向こうの山の下に点々と明
かりがつき始めた。きれいだなって思う。でもどうしようって時にちょう
ど車が来て前で、すっと止まった。
中から二人おりてきた。白い顔をしている。眼や鼻や口なんかの顔の細か
いところがどうなっているかはわからない。だけど白衣を着ている彼女ら
が宇宙人であることは知っている。
頭の上でフニャフニャフニャクチャクチャしゃべっている。けれど何を言
っているのかわからない。道端で手術が始まった。麻酔も全然使わない。
大きなハサミで額を切られる。ジョキッ!ジョキッ!ジョキッ!!頭の中
をこちょこちょと手で触って手術される。テグスのように糸で縫われる。
チョキン!!糸を切る音もリアルに聞こえる。麻酔を何もしていないか
ら。今度は頭の横をハサミで切られて、手術され、テグスで縫われた。今
度は後頭部、ああ、ここをされたらおしまいだと思うけれど、動けない。
とうとう後頭部もされてしまった。
白衣を着た宇宙人は車に戻り、行ってしまった。
アスファルトの上に正座さされたまま、どうしよう。どうして帰ったらい
いんだろうと思ったところで目がさめた。
それまで頭痛持ちで、いつも頭が痛いの悩まされていたのが、夢の中で手
術をされてからというもの、ぱったりと治ってしまった。今まで痛かった
のが嘘のように。


私は仏様に守られているんです、みんなにこの人おかしいのとちゃうかと
思われるから普段は誰にもこんな話はしないんですけどね、と老婆が言った。







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