禅寺小僧

日々の記です。

みんな帰っている。









日本人もいれば中国人もいる。
夕方から夜になって、ホテルの中庭のようなきれいで広い空間に人が
集まってくる。白いコンクリート、青く照明されたプールの水、ライト
アップされた木々の緑、気持ちのいい場所だ。
そこを仕切っている人たちは、昔、写真をしていた時代のお歴々の先輩
方で、マネージメントをしておられる。先輩ばかりで同輩や後輩はいない。
カウンターで食物や酒もだしている。
「おう、ちょっと誰が来てるか、写真撮っといてくれるか?」
渡されたカメラはガラス製で、35ミリのフィルムカメラだった。フィル
ムを入れるところも見えているから、これでは感光してしまうやないか。
ちょっと古そうなレンズは、四角いガラスのボディから飛び出るように
ついていた。写真を撮るためにカラースライド用のフィルムをもらって
装填した。












ここに集まっている人たちは何かの仕事をしていた人達で、そろそろ
みんな帰るみたいだ。列になって並んでいる。一番前のところまで行くと
それぞれ、給料から経費を差しひいてお金をもらえる。金額が列の横に
置いてある電光掲示板にでる。人によって2万何千何百何十何円とか、
3万何千何百とか。何ヶ月か働いていたはずなのに、以外と少ない。
自分の番が来た。さっき渡されたカメラは先輩が使っていて、お金を
もらった人の証拠写真を撮っている。カメラの上にストロボを付けて
おられたが、発光はしていなかった。大丈夫なんだろうか。
自分の給料は8千なんぼで悲しい程少なかった。













こんどは坊さんになっていた。妙心寺の門前にいるのだけど、これから
旅をすることになっている。西のほうに向かって旅立つのだ、というのが
わかっているけれど、目的地ははっきりしない。また夜になっている。
修行僧ひとりと、小さい小学生の女の子を一緒につれて行くことになって
しまった。脚の速さが違うしなあ、まずいことになった。ゆっくり歩く
のも修行だとおもうが、気ぃつかうな〜。いま出たら泊まるところを探す
のが大変だから、明るくなってから出発しようとみんなに言う。
若い坊さんが話かけてきて、みんな帰ってきてもそのままですわ、という。
このあたりで三セイさんと言えば、どこそこのナントカさんと、ナントカ
さんと、ナントカさんのことです。というけれど、どの人も知らない人
だった。このあたりの事情は何も知らんなあ、と思う。











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