禅寺小僧

日々の記です。

tomodati










人類学の資料のいっぱいつまった、ケーブランリーというあたらしい
博物館がある。レヴィ・ストロースの匂いがする素敵な場所で、観覧
者の驚きとわくわく好奇心を刺激されているのが伝わってきて、渦に
なって空中に漂っている。なんて活気のある博物館なんだろう。埃を
かぶった、研究室の資料倉庫がそのまま引越してきたのではなくて、
人類学のおもしろさ、ひいては人間のおもしろさにあふれていて、こ
んなふうに出来るんだなあと感心した。展示物が死物と化していない。
来た人の心が喜んでいる、これだったらここを見に来るだけで、その
ために、街に人がやってくる。














ホールで講演会があって、図書館で坐禅会をしたあと、参加者と話して
いるなかに日本語をしゃべれる老人がいた。なんとなく馬が合い、日本
にいきますという。


一年程して、天気がいいんで本堂を開けはなって机で提出しなきゃならん
作文をしていたら、足音がして、いきなり、ひょっこり、本堂の縁の下の
敷瓦のところに立っていた。上がってもらっていろんなことを話した。



その後はメールがあって、若い人を一人連れてきたこともあった。今回は
日本に行きますとメールと電話があったのだった。













それで今回も日本にきたついでに、京都まで足を伸ばしてくれたのだっだけど、
彼はお茶が好きなんでいっちょうお茶を点ててやろうと火鉢を茶室に入れといた。
柿を穫って菓子にして、お茶を点てたら、私も点てたくなりました。というので、
席を替わって今度は点ててもらった。彼が座ると空気が変わった。20年やって
いるという山田宗偏流の手前は気持ちよかった。聞いてみると居合いもやっている
という。なるほどな。宇宙と、茶室と、人間とが一つになるような、日本のよさを
教えてもらった。元気になったよ。













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