禅寺小僧

日々の記です。

無意識の動きを利用した体操











ヒントは雑誌禅文化214号の記事です。著者の薬師寺の樺島和尚は私が修行僧
のころから身体についていろいろとお教えいただいる方です。

NHKの番組で針金のハンガーを頭に差し込むと、頭が意志とは関係なく、横を向く。
というところから薬師寺和尚はうまく頭に圧をかけることで集中力を高める方法を
発見され、記事に書いておられるのですが、このことを試していて、新しい体操を
考え付きました。

クリーニングでもらうハンガーを頭に挟むと、勝手に、グルッと頭が左に向きました。
全身の筋肉バランスが一定方向にずれているようです。何度やっても左に向きます。
これは面白いと、早朝、お経を誦む前に本堂で坐を組んで観察してみました。

頭骸骨にハンガーを挟むと自動的に首が動き、それが肩から背に伝わり、腰の方まで伝わって
体幹が回転してゆきます。その中で、腰まわり、下腹部まわり、体側下部の、筋肉が
伸びてゆくのが感じられました。

ふつう、意識的な動きではなかなかストレッチしてくれない場所です。
意識的な動きよりも、無意識の動きの方が偉い!のが身体の不思議なところです。
坐禅を組んで、試してみると、首から始まってどんどん身体が左に捻れてゆきます。
そのまま坐禅の深い呼吸を続けて、だんだん筋肉がほぐれてくると、捻れはもとに
還ってゆきます。股関節の位置が戻り、骨盤まわりの筋肉がほぐれるといいようです。

頭の位置がもとに戻ったあと、少し場所を移すとまた頭が回転します。
そのようなことを試していました。











他の人にも試してみました。が、ある程度、意識の力が抜けていないと何の変化も
ないようです。
身体が一定方向に回転してゆくのは、禅文化の記事の中にあるように、全身の筋肉の
緊張バランスの歪みのためなのでしょうが、そのスタートは何かと考えるうち、例えば
左回転のときには、眉毛の上の頭骸骨の左側が、より強く圧迫されていることに気が
つきました。

ためしにハンガーを回して、頭骸骨の右側により圧力がかかるようにしてみると、今度は
右に頭が回転します。

差し込んだハンガーの前のを上げて、頭骸骨の後ろをより圧迫すると、首は後ろに向かい、
身体全体も後ろに向います。
ハンガーの前を下げて、頭骸骨の前をより圧迫すると頭は前にうなだれて、身体全体は
前屈してゆきます。

ハンガーを横に向け、かつ斜めにして左右にうまく圧をかけると、首から体側にかけて
伸びてゆきます。

これで丹田を中心とした身体のX軸、Y軸、Z軸のすべての方向に身体全体を動かすこと
ができます。しかも動きのスタートが無意識の動きなので、意識的な動きの体操よりも
効果が大きく、かつ、楽にできるのです。

なかなか字ずらではわかりませんね。

明日、写真を撮って説明してみます。