禅寺小僧

日々の記です。

夜桜は





旅は人を孤独にさせてくれる。
一人旅で自分をもてあましふらふら彷徨う。
それが心地いい。









公園を夕方、歩くことはあるけれど、
夜桜にはこないでおこうとしていた。
独りで眺める、ライトアップの夜桜は、
淋し過ぎる。







山を歩いていると、ふと足元に散っている花弁に
目がゆく。見上げてみれば、梢に山桜が花を
咲かせている。
ひとりで愛でるなら、山桜。
向こうの山の山桜で、雨に煙っている、
山桜であるな。






後ろのほうではわれわれ同様というような
モテナイ男衆が気炎をあげている。
キャンプ用の椅子やら机やらを持ち込んで
なかなか用意がいいようで、パシュ、パシュ、
缶ビールをあける音が次々響きわたる。
近くの酒屋でワンカップを一本買うが、
いい酒は売っていなかった。
つまみなしで飲み始めるけれど、
なかなか口もすすまないまま。
桜の下に坐りこんで、セルフタイマーにしてみるけれど
かすかに影が映ったかどうか、というだけのこと。