禅寺小僧

日々の記です。

京都のプライド

hekigyokuan2005-01-09

 

東京のなかでは、六本木はわりと標高が高いらしい。
その上に六本木ヒルズのビルが立ったから、
海抜でいうと東京タワーのてっぺんより
六本木ヒルズの最上階のほうが
高くなってしまうんだそうだ。
古くから東京に住むひとの中には
「やっぱり、東京タワーより高いというのは、ねえ。」
という思いの人も多い。
やっぱり、東京の象徴だから。

 京都は桓武天皇平安京を造営されたとき
北の船岡山(海抜111メートル)を基点として
都の守りたる玄武とした。
船岡山から京都盆地を見下ろして都市計画をされたのだ。
神聖な山として現代まで千二百年つづいてきたれど
21世紀になると、山の斜面に山とほとんど
同じ高さの建物を建てるという。
建築基準法に基づいて。
適法の範囲で。

 日本全国、津々浦々、地方ごと、郷土ごとに
それぞれ特色があって、それぞれそこに住む人のプライドに
なっている。
京都でこの前に戦争、といえば応仁の乱のことで
それほど私の家や町は長く続いているんですよ、
という自慢であるのだけど、同時に
ヨソとはちがうのよ。というプライドを含んでいる。
伝統と洗練の町、京都。
言葉として、観念としてはそうだし、
市長さんも文化都市京都、とか言うたはります。
でももし、そういうアタマで京都に来た人が
実際に京都の街を見て、
「なんや、こんなもんか。」
と思ったとしたら、京都人のプライドはどうだろうか?
実際いまの京都はどこもかしこもごちゃごちゃとした
町になった。

 これから先百年後、二百年後、
どんな町に創り上げていこうか。という視点と展望が
京都市民の胸の中にあるだろうか?
自分達にとって、何が大切なのだろうか?
何を残し、どこを変えていこうという自覚があるだろうか。

 パリには素晴らしい町並みが残っていて
俺はパリにいるんだ、と思えるだけでワクワクする。
シラク大統領がパリ市長の時、町並みを守る法律を
作ったんだ。おかげで世界中の人に魅力ある町でありつづけている。

 個人として自分の家をどうしていこうという思いは
日本人の中に強いだろう。
テレビでも家の番組がたくさんある。
けれど、町全体として、長い歴史の中で、
という視点はあるのだろうか。
行く先を意識しつつ前に進むのと、
行き当たりばったりに流されてゆくのでは、
到達する地点に大きな開きが出るのじゃないだろうか。

 京都が、個性のない、どこにでもありそうな
ごちゃごちゃした一地方都市になってしまうか、
どうかは京都市民ひとり一人の町に対する思いと
将来へのビジョンがあるかどうかにかかっている。

せ。