初釜
お茶をよばれにいきました。
お前みたいなモンがお茶ってか?
似合わな過ぎ。とおもうだろうけど、
ぎゅう詰の部屋の中は、男ばっかしでありました。
洗練の極みと思える世界になんでまた、
よりによってまたアンタが、というところなんですけど、
はっきり言って、坊さんをしているからよんで頂いたわけで、
私のセンスが優れているから、では、けっしてない。
いまだに坊主を大事にしてもらっているのは、
ありがたい、また申し訳もない。
たぶん俺が行くにはまだまだ早すぎる。
昔の坊さんは尊敬される偉いひとだったんだろう。
しかし、中身のない案山子がお茶が嫌いか、というと
そうでもなくて、素朴になんだか憧れていたりもする。
ほんとは去年あたり、茶室とはいかないけれど、
小さな庵を作ってみたいな、とおもっていた。
勤め先の都合で実行できなかったけど。
できるなら、京都市街を離れて。
ちいさな庵でかまわない、けれど、心は広くもちたい。
あせらず、セカセカせず、追いまわされず。
京都にいるときゃ、離れてみたいと思う。
けれど離れてきて野原に立ったら、
それはそれでなんとなく、落ち着けない。
なんとなく、ソワソワしてしまう。
何がなくてもどっしり構えていられたらいいのだけどね。
だから湯を沸かして茶やらコーヒーを飲む。
なんだかほっとする。
それから、やっと周りの景色やなんかが眼に入りはじめる。
じっと坐っていられるようになる。
この間、畳ベットを分解するのを手伝って、
半畳の畳を2枚もらった。
これを使ってどこかに自分の小屋を建てれないか、
なんで夢想してる。
せ。