禅寺小僧

日々の記です。

登って滑って転んで遊んで











昔、リフトなんか使わずに、人力で登って、そのぶんの下りを滑り降りるかんじやった。えっちらおっちら登ってためて圧縮した位置のエネルギーを、バーッと一気に開放して滑る。節約して大事に貯金したのを、景気よく気前よくばらまいてしまう、惜しげない爽快さ、気持ちよさ。リフトを使えば座ったまま楽に上へ登って、贅沢にたくさん滑れる。もちろんそれがいいのはわかってるんだけど。













自分の脚で登らなくてもいい、食堂も、トイレもある。バックに音楽が流れていて人が沢山あふれる、そこにいるだけで楽しい、スキー場はそんな場所。
















それに比べれば、何にも無い。
林の中で鳥が鳴いているだけ、たまに鹿が鳴くだけの静かな空気。春の陽気とそろそろ溶けつつある重めの雪。集まって沢を流れてゆく雪解け水。まだ誰もシュプールをつけてない斜面。













左肩に板を担ぎ、右手にストックを持って、幸せを噛みしめるように一歩づつ。穴とか沢なんかの危なそうなところがないか見ながら歩いてく。パトロールがコース整備してくれるわけでもないしね。スキー場だったら、このリフト遅いなあとか思ってるけど、脚で登れば登っていくのもまた楽しいのかいいところかな。天辺に着いたら、板にストックを渡して座り込んで、目を遠くへやったり下へやったり。












別に急いで降りることもないし。雪のある景色を眺めて過ごす。昼ご飯がわりの、お茶とお菓子をつまみつつ。











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