夜の川、鵜飼を見る乗合船から隣の人がー。
「おおーい。」
篝火をつけた鵜飼舟の先頭にいた人は「おお、明日、9時なー。」
と言った。
次の日の朝、川から横の道をブラブラ歩くと、はいってすぐのところに
鵜匠の方の家があった。門のところで待っていただいていた。
頭に藍染木綿の冠りものをして、腰蓑をつけて、鵜飼の格好で立って
おられた。
代々の鵜飼の家に産まれられて、肩書きは宮内丁式部職で天皇陛下の
食べられる鮎を獲っておられる。川漁だけでなく昼間は喫茶店をされて
いるのでコーヒーを飲みにやってきたのだ。