俺の酒が,飲めんのかあ?
こんなセリフを吐いているなら、そら、もう、
完全に酔っぱらってますよ。
こんな宴会はあんまり気分のええもんでもあれへん。
その俺の酒、はたいてい俺の注ぐ酒のことなんやけど、
地酒ならぬ、自酒でもだったとしたら、なんかしっくり
きまへんか?
手前味噌っていうように、自分で作った味噌は、旨い。
誰がなんといおうと、作った本人にとっては大変においしく
感じられ、口にすると舌のうえに非常な満足が駆け巡る。
ただ作った本人以外にとってその味噌の味がどうであるかは
わからん。
そこが発酵の面白いところで、自分で仕込んだのが、だんだん
変化してきて、プクプクしているのをみているとかわいくて
ならない。今日はどうなってるやろか、とおもうと毎日が
ほのぼのと楽しくなってくる。
犬やネコを可愛がる人の気持ちに似ているのかもしれないな。
子供の頃から犬は飼っていて、今も一匹いるけれど、とくに
ネコ可愛がりすることもなく、ごくふつうに飼っていて、
友達みたいなもんや。
けど、それより可愛い感じやね。発酵食品は。
しかも食べれるし。
不飲酒戒ということもあるけれど、これはお酒を飲むと
坐禅ができないから禁止しているわけで、今夜はもう坐禅も
しない夜、いそいそ、汲みに出かける。
琴の弦はのびていたら音がしないけれど、張り過ぎもまた
いけないのである。般若湯という言葉もあるし。。
昔、下宿で、ゴミ箱を洗って白菜の漬けモンを作っていて、
一回生が来たとき、彼は決して手を付けなかった。
「お前、漬け物、嫌いなんかあ?」
と言っていたヤツがいたけれど、
あんなんはやっぱりアカンかったな。