脱渋柿
庭に大きな甘柿の樹が1本と、畑に渋柿の木が2本ある。
甘柿は昔の品種らしくて、10コに1コぐらいの割合で
渋柿が混じる、毒か薬がわからんような、油断できない
スリリングな奴なんだ。来年はどっさり取れるのだろう
けど、今年は実をつけないでお休みの年みたい。
畑の渋柿はボチボチ実をつけていて、形が丸いから騙され
たんだろう、こないだ近所の子供が獲っておった。見ても
獲るな、とも獲れとも、言わないけれど、家に帰ってかじ
っとったらどんな感じやろね。誰にも子供の頃にあるような
いい経験になるやろな。
出雲出身のオバサンがうちに渋柿があって、風呂も五右衛門
風呂だと聞きつけて、子供のころ田舎で作っていた柿を作って
ほしいとたのんでこられた。
作りかたは、渋柿のへたのところに割り箸を刺して渋の抜ける
穴をあける。密閉できるナイロン袋に柿をいれ、熱めのお湯を
いれる。五右衛門風呂で湯温がさげないようにして、朝までおく。
たったこれだけ。
今回は沈むスノコの下に柿を沈めておいた。
朝、自転車でおばさんに届けてあげた。
「きのう作ったデ、確かに渋は抜けて甘なってますワ。
けど、肉は硬くて、ガリッという感じやね。」
「それでエエんですわ。成功です。」
とのことでした。なんで渋が抜けるのかはわからん。子供のころ
家でやっとったが、今は田舎もガス風呂になったんでできひん。
そしたら食べるわ。とのこと。
もっともっと寒くなって、ガンガン霜がおりて、柿の実がオレンジ
から沈んだ赤になって、実も熟熟になったら、畑に立ち手で皮をそっと
むき、冷たい冷たい実をかぶるのが好きやが。種はぴゅッと飛ばす。
その頃にはドロドロのネタネタやけど、勝手に甘く甘くなってるし。