禅寺小僧

日々の記です。

穏やかな


 島のひなびた温泉に連れて行ってもらった。
鉄錆色のお湯で、湯船から海まで10メートルくらいで
手ですくって飲んでみると、塩味がついていて、おいしい。
入り口で、「京都から来なすった、和尚さんです。」と
紹介されると、二人ともどうしてもお金を受け取って
もらえないのだった。温泉の設備は古びていて、温泉の成分に
コーティングされて、ピカピカの新品のような
人を寄せつけないようなところがなく、のびのびできる。
窓を開けて明るい海を眺めていると、
年甲斐もなく、温泉もいいもんだなあ。と思えてきた。
露天風呂にいってみると、水風呂だったけど、落ちてくる
桜の花びらを眺めながら、いろいろ、話した。







 昨日の夜は家で泊めてもらって、晩には
親戚の人やら近所の人やらが集まって、宴会をしていただいた。
やっぱり、島は暖かくて、もう出ているらしく、
筍と蕗の煮いたのを近所の人が持ってきてくれた。
「フツ餅です。」といって食べさせてもらったのも、
隣の家のおばあさんが作ったヨモギ餅だった。
甘いものは苦手なんだけど、こういうのは食べれる。
餡も、なんともやさしい甘さで、やわらかく、
それほど蓬の味は強くなかったけど、なんとなく
ツルッと食べてしまった。







それに刺身は店から取って貰って、みんなに、
「これが一番おいしいところです。食べてください。」
といわれて、サザエの肝を食べさせてもらった。
このあたりでは、今の時期、山椒味噌、といって
山椒の新芽を擂り粉木でつぶしたのに味噌と酢をまぜて
酢味噌にしたので刺身を食べる。
「どうぞどうぞ、」と
島の焼酎を鱈腹いただくうち、なんと、不覚にも
ご飯を食べながら潰れてしまった。








蒲団を敷いてもらって、寝ることになった。
ここいらの人たちは、やたら強かった。
どうもしばらく忙しかったので、疲れていたのか、
どうか。。