禅寺小僧

日々の記です。

平らかに、安らかに。秋晴れ。

11月

過去の記憶が、意識するしないにかかわらず、人間の心にこびりついていて、心の平安を邪魔しているように感じます。ああしたかったのに出来なかった、などという不満の記憶が、今の怒りのエネルギーに変化して、心を突き破ります。だからそういう記憶をためないような生活をなさることでしょうな。
 自分の中の記憶からはなれて、他者へ一心となったり、大きな自然に触れ合うことで、平安が生まれる、とおっしゃってるのも、そのとき過去の嫌な記憶から離れて、眼の前で現在進行中の人や自然に没入しているからではありませんか。
 寺に来てゆっくり座禅をしていただいたとき、風の音、鳥のさえずり、苔や土の臭いなどが、あなたの身体の中になだれ込んできたことと思いますが、逆に内なる心が揺さぶられなくなると、自分のまわりのことが見え出したり、気づいたりということが、あるのではないでしょうか。