禅寺小僧

日々の記です。

あさがお



近所の図書館は小さくて、それほど本を置いているわけじゃないけれど、たまたま寄った。写真関連の書籍はほとんど置いてないのだけど、その僅かな蔵書のなかにロベール・ドアノーの掌版の写真集を発見する。10年以上前の昼下がり、祇園あたりの四条通に面した小さい美術館で展覧会をみたことを憶いだした。薄暗い中にスポットがあたっていてエレベーターで何階も上っていきながら視てゆく式なのだけど、そのときは輝いているようなプリントであったのが本になると少し落ち着いてプリントのときにあった饒舌さは息を潜める。彼は一生を「ありふれた状況下の普通の人々の普通の振る舞い」をとらえることにふけったけれど、最初レタリング技師であった彼がカメラを持って街に出たときのことを「考えようによっては恥ずかしがりやも悪いものではない。内気な性格のせいで人を撮るときは距離をおいた。結果として被写体の周りにスペースが生まれ、これこそは私が撮りたいと思っていたものだったのだ。」と述懐している。こんな風になりたいものだね。



せ。