禅寺小僧

日々の記です。

曇りの朝、峠近く







アタマを打ったんだな。固いアスファルトに脳漿が流れ出るまま、流れでている。
瞼をあけたまま。重量が横たわる。
エメラルドグリーンの、ちょっと濁った宇治川の水の色のような。
底の見えない巨きな球には、まだちょっと光があるようだけど、
どこを見ているのか、焦点は定まらない。


シマッタ!と思ったろうか、
誰かを守るための覚悟の上でだったか、
それともあれ???
こんな筈では?
なんて思ってるの?
ちと、疲れたか。


火は消えた







こないだ行った先で庭の柿の樹に鉄の波板を巻いてあった。
ご主人はちょっと恥ずかしそうに、
熊が登れないようにですよ、ここまで食べにきますんでね、と言った。
山に食べ物が無いせいです、とおっしゃる。
そうなんですかね、実はあんがい山に食べ物は豊富なんじゃないですかね、
戦後70年ちかくたって荒れた山も復活し、
山も含めて日本全体が変化して、
結果的に野生動物が増えたんじゃないでしょうか。
もし山に動物の食べ物が本当に無いなら、
餓死して数が減るはずなのに、現実にはちっとも減らないし。
いっしょに山中にはいると、
山の中の地面の上は散らばったドングリだらけになっている。













瞳孔は開いたまま、そのまま。
ということは夜中に事故にあったんだな。
毛並みの美しい、健康そのものの壮齢の新鮮な肉体は
もう何も言わず、ピクリとも動かない
でもなんか他人事には思えないのだな。
硬いアスファルトの上に横たわるのは
明日は自分の身体なのかもしれない
予感がきっとどこかにある。


もう、支えきれなくなった体液が、
口のあたりからしたたり、
重力のまま、
身体の外に流れつづけていく。


もう、土を踏むことのない
自慢の脚が蹄が足裏を見せ
横倒しになって
宙に浮かんでいる。


ひらいたままの瞳孔の碧いろ





南無阿弥陀仏






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