秘密の場所
こんなところにはいそうじゃないですか。
子供のときも自転車に乗って捕りにいったもんでしょ。
あの頃は田んぼにカブトエビっていうのもいたな。
あっちやら。
こっちやら。
あそこにも。
そんな誰にもある懐かしい場所。
「いろいろあって、鮎がいんようになりましたな。
昔は橋の上から見るとうじゃうじゅやいましたが。」
兵隊
水牛
「出石あたりで、わたしら子供のころは
コウノトリなんて沢山いたんですよ。
田んぼにはタニシがいて、シジミがいて、カエルがいて、蛇がいて。
蛇はいらんけど。トンビがよう咥えてましたわ。
あいつら子ウサギでも空に持ってくからね。」
懐かしい故郷から出てきて、知っている逝ってしまうと、それでも
虫、鳥、魚なんぞに会いたい。
川に下りていって捕まえることはもうしないけれど、
同じ橋の上から水面を覗き込んで、鮎がいるのを眺めてみたい。
かわらず、水の中に舞うている黒い影を見ていたい。
人がいなくなっても、なんかそこに身をおいて、
川のせせらぎと蝉の声をきいていたい。