禅寺小僧

日々の記です。

エエ雨でしたな、ひさしぶりの。


                           
                           
                           
 拝観謝絶の看板をかけているので、
「なんで御参りできないんですか。」
などといわれるんで、心苦しい。
しかし、芸大などの学生さん達が建物、庭園、障壁画
などを見学にこられることはあって、その方々には、
それぞれの専門と興味のままに見学していただいている。 
                         
 この間は音の授業の一環で、「寺で聞く音」
のような授業をしていただいた。芸大の学生さんは
今までだいたい、何かを見に、来られる方ばかりであったのが、
寺で何かを聞く、というのでなくて、ただ単に、寺に来て、
ゆっくり、ごく普通の寺の一日の音を、聞いて、帰られた。
                        
 最後にお茶を飲みながら、「修行と音」というタイトルで
雑談をさせていただいた。昔、中国で香厳(きょうげん)という
僧が修行していたが、ちっとも悟るところがなかった。
とうとう、田舎へ帰って、庭を掃いていると、小石が飛んで、
「カチン!」音をたてて竹にあたった。
その音を聞いて、香厳は悟ったのだと。
                          
 何かと見るために、寺に来る、というのでなくて
ただ普通に音を聞のはある意味、寺のそまま全体を
感じることであろうし、寺に居るだけで、そこは日本人に
とって何となく落ち着く空間であるように思えるので
そこで、聞くことは意義深いことではなかったか。
香厳の心に響いたあの音が、
学生さんの心にも響きわたったのだろうか。